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歯周病はお口だけの病気ではありません!~全身の健康と健康寿命を守るために~

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歯周病はお口だけの病気ではありません!~全身の健康と健康寿命を守るために~

こんにちは。兵庫県加古川市の小林歯科医院です。

皆さんは、歯周病が歯ぐきや歯を支える骨だけでなく、全身の健康とも深く関わっていることをご存じでしょうか?

近年の研究では、歯周病と糖尿病、心血管疾患、認知症、筋力低下など、さまざまな病気との関連が報告されています。

今回は『日本歯科医師会雑誌』2026年10月号に掲載された、竹内康雄先生の「細菌学的視点からみる歯周病と全身疾患の関わり」を参考に、お口の健康が全身に与える影響についてご紹介します。

歯周病菌はどのように全身へ影響するのでしょうか?

私たちのお口の中には、数百種類もの細菌が存在しています。

健康なお口では、これらの細菌がバランスを保っています。しかし、歯磨きが不十分だったり、歯周病が進行したりすると、細菌のバランスが崩れ、歯ぐきに炎症が起こります。

これを「口腔内細菌叢のディスバイオシス」といいます。

歯周病が全身に影響する経路として、主に次の2つが考えられています。

① 血液を介する経路

炎症を起こした歯ぐきから、細菌やその成分、炎症に関係する物質が血液中に入り、全身に影響を及ぼす可能性があります。

② 消化管を介する経路

唾液と一緒に飲み込まれた口腔内細菌が腸内細菌のバランスに影響し、全身の炎症に関係する可能性があります。

つまり、お口の健康を守ることは、全身の健康を考えるうえでも大切なのです。

歯周病と関係が注目されている全身疾患

① 糖尿病との関係

歯周病と糖尿病には、双方向の関係があることが知られています。

糖尿病によって血糖コントロールが悪くなると、歯周病が進行しやすくなります。一方、歯周病による慢性的な炎症は、インスリンの働きに悪影響を及ぼす可能性があります。

歯周治療によって、2型糖尿病患者さんの血糖コントロールが改善することも報告されています。

糖尿病のある方は、内科での治療とともに、歯科での継続的な歯周病管理が重要です。

② 心筋梗塞・脳梗塞などの心血管疾患

歯周病と動脈硬化性心血管疾患との関連も研究されています。

動脈硬化を起こした血管の病変から歯周病関連細菌のDNAが検出されたという報告があり、歯周病による慢性炎症が血管の健康に影響する可能性が指摘されています。

ただし、歯周病が心筋梗塞や脳梗塞を直接引き起こすと断定できるわけではありません。

歯周病の予防・治療は大切ですが、血圧・脂質・血糖の管理や禁煙なども欠かせません。

③ 認知症との関係

近年、歯周病と認知機能の低下、アルツハイマー型認知症との関連についても研究が進んでいます。

歯周病関連細菌の一つである Porphyromonas gingivalis(P. gingivalis)や、その病原因子が脳の炎症に関係する可能性が研究されています。

また、歯を失って十分に噛めなくなることや、食事内容の変化なども、認知機能に影響する可能性があります。

ただし、歯周病治療によって認知症を予防できることが証明されたわけではありません。

高齢になっても自分の歯で噛める状態を維持することは、食事や生活の質を守るためにも大切です。

④ サルコペニア(筋肉量・筋力の低下)

サルコペニアとは、加齢などに伴って筋肉量や筋力が低下する状態です。

歯周病によって歯を失い、噛む力が低下すると、食べられる食品が偏り、栄養状態が悪化することがあります。

さらに近年では、歯周病による慢性炎症そのものが筋肉の代謝に影響する可能性も研究されています。

高齢者の健康維持には、歯周病の管理だけでなく、噛む力の維持、十分な栄養摂取、適度な運動が重要です。

⑤ 脂肪肝や肥満との関係

脂肪肝の一部は、現在「MASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)」と呼ばれています。

歯周病による慢性炎症や口腔内細菌の変化が、腸内細菌叢や肝臓の代謝に影響する可能性が研究されています。

歯周病と脂肪肝との関連は報告されていますが、因果関係や歯周治療による肝疾患の改善効果については、さらに研究が必要です。

歯周病と「炎症老化」

今回の記事で特に注目したいのが、**炎症老化(インフラメイジング)**という考え方です。

加齢に伴って、体内では弱い炎症が慢性的に続きやすくなることが知られています。

歯周病も慢性的な炎症を伴う病気です。

そのため、歯周病による炎症が、加齢に伴う全身の炎症状態に影響する可能性が考えられています。

また、喫煙や運動不足、偏った食生活などの生活習慣も、歯周病と全身の健康の両方に影響します。

歯周病の管理は、健康的に年齢を重ねるための取り組みの一つといえるでしょう。

お口の健康を守るには、運動や食生活も大切です

今回の記事では、歯周病の管理に加えて、運動習慣の重要性も紹介されています。

適度な運動には、全身の代謝や炎症状態を改善する働きがあり、口腔内の環境にも良い影響を及ぼす可能性が研究されています。

厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、成人には1日60分以上、高齢者には1日40分以上の身体活動が目安として示されています。

もちろん、年齢や体力、持病に応じて無理のない範囲で取り組むことが大切です。

小林歯科医院が大切にしていること

歯周病の治療は、歯石を取って終わりではありません。

歯周病は再発しやすい病気であり、治療後も継続的な管理が必要です。

当院では、歯周病の状態に応じた定期的な検査や歯周病管理に加えて、患者さん一人ひとりの年齢、全身疾患、生活習慣、噛む力などにも目を向けています。

特に高齢の患者さんでは、歯周病の管理だけでなく、口腔機能の低下を早期に発見することも大切です。

お口の健康を維持することは、食べる楽しみを守り、毎日の生活の質を支えることにもつながります。

まとめ ~健康寿命を延ばすために、お口からできること~

歯周病は、お口の中だけの問題ではありません。

全身のさまざまな病気との関連が明らかになりつつあり、歯周病を適切に管理することの重要性が改めて注目されています。

毎日の丁寧な歯磨き、歯科医院での定期的な歯周病管理、そして健康的な食生活や運動習慣。

これらを組み合わせることが、お口と全身の健康を守るために大切です。

「歯を守ることは、食べる力を守ること。そして、健康な毎日を支えること。」

加古川市の小林歯科医院では、これからも患者さんのお口の健康を通して、健やかな生活を支えていきたいと考えています。


参考文献

竹内康雄.細菌学的視点からみる歯周病と全身疾患の関わり ~超高齢社会における健康寿命延伸に向けた包括的歯周病管理の必要性~.日本歯科医師会雑誌.2026;79(7):516–523.

厚生労働省.健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023.

監修者情報

小林歯科医院 院長 藤家 恵子

小林歯科医院 院長

藤家 恵子Fujiie Keiko

専門領域
専門領域:歯周病治療/入れ歯(義歯)/インプラント/口腔外科/有病者・障がい者歯科、訪問歯科・口腔ケア支援。
略歴
朝日大学歯学部卒。神戸市立医療センター中央市民病院 歯科・口腔外科での研修、臨床基盤の確立。PL病院付属歯科診療所・神戸市健康保険組合診療所での外来診療と副医長としてのチーム運営経験。小林歯科医院に参画後、副院長を経て2009年に先代を継承し院長就任。一般歯科から歯周病・義歯・インプラント・口腔外科、有病者・障がい者・訪問まで幅広く診療し、地域医療に継続的に取り組んでいます。
所属学会・スタディグループ
日本臨床歯周病学会/アメリカ歯周病学会(AAP)/日本障害者歯科学会/日本口腔感染症学会・JSCO(ジアズステディークラブ大阪)/O.J(Osseointegration Study Club of Japan)/K-PROJECT
社会活動・専門貢献
加古川歯科保健センター:障がい者歯科診療担当として隔週で出務・東日本大震災・能登半島地震などで災害医療ボランティアとして口腔ケア支援。災害時の口腔ケア啓発講演を継続。

患者様へのメッセージ

お一人おひとりが納得して選べるよう、検査結果と各治療の利点・注意点を丁寧に説明し、生活背景に合わせた無理のない計画をご提案します。予防から専門治療、訪問での口腔ケアまで切れ目なく支援し、長く安心して任せていただける「地域のかかりつけ歯科」として寄り添い続けます。