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子供の歯ぐきが腫れるのはなぜ?思春期性歯肉炎に注意

  • 歯科情報ブログ

思春期性歯肉炎(子供の歯周病)とは

小学校高学年から中学生の頃にかけて見られる歯肉炎を「思春期性歯肉炎」といいます。
歯ぐきが赤く腫れたり、歯みがきの際に出血したりするのが特徴で、特に女の子に多いとされています。

思春期はホルモンバランスの変化が大きく、歯ぐきが炎症を起こしやすい状態になります。報告によれば、思春期の子どもの約2割に症状が見られるといわれています。

思春期性歯肉炎の原因

ホルモンバランスの影響

思春期に増える女性ホルモンは、歯周病菌のひとつ「プレボテラ・インターメディア」という菌の活動を活発化させます。普段は問題にならない菌ですが、ホルモンの影響で増殖し、炎症を悪化させることがあります。

生活習慣の変化

塾や部活動による夜更かし、ファーストフードや甘い飲料の摂取、不規則な食生活は、お口の環境を悪化させ、歯肉炎を起こしやすくします。

口呼吸の影響

口呼吸の習慣があると、唾液の洗浄・抗菌作用が低下し、細菌が繁殖しやすくなります。鼻詰まりや口呼吸が続く場合は、耳鼻咽喉科の診察が必要になることもあります。

思春期性歯肉炎の症状

主な症状

  • 歯ぐきの赤みや腫れ

  • 歯みがき時の出血

  • 口臭や口のネバつき

  • 歯と歯ぐきの境目に歯垢や歯石がたまる

思春期性歯肉炎は「きちんと磨いていても起こる」ことがあるのが特徴です。放置すると「侵襲性歯周炎」という重度の歯周病へ進行するリスクがあるため、注意が必要です。

思春期性歯肉炎の治療

歯科医院での治療は、一般的な歯周病治療と同様に「プラークコントロール」が基本です。

  • 染め出しによる磨き残しチェック

  • 正しい歯ブラシ・フロス・歯間ブラシの使い方指導

  • 歯石除去・専門的クリーニング

ホルモンの影響は避けられませんが、こうしたケアでほとんどの場合改善します。

思春期性歯肉炎の予防法

セルフケア

  • 歯と歯ぐきの境目を意識した歯みがき
  • フロスや歯間ブラシを使った歯間清掃
  • 保護者による仕上げ磨き(少なくとも1日1回)
  • 甘い飲食を控え、栄養バランスの良い食事

プロフェッショナルケア

  • 3〜6か月ごとの定期検診
  • 歯石の除去やクリーニング
  • セルフケアのチェックと指導

生活習慣の見直し

  • 規則正しい生活・十分な睡眠
  • 三食しっかり摂ること
  • 間食や甘い飲み物を控える
  • 鼻呼吸を意識する

まとめ

思春期性歯肉炎は、思春期特有のホルモン変化や生活習慣の影響で起こる歯肉炎です。
きちんと歯みがきをしていても発症することがあるため、定期的な歯科検診と正しいセルフケアがとても重要です。

お子さんの歯ぐきに腫れや出血などの症状が見られたら、早めに歯科医院で相談してください。
健康な歯ぐきを守ることが、将来の歯の健康につながります。

 

監修者情報

小林歯科医院 院長 藤家 恵子

小林歯科医院 院長

藤家 恵子Fujiie Keiko

専門領域
専門領域:歯周病治療/入れ歯(義歯)/インプラント/口腔外科/有病者・障がい者歯科、訪問歯科・口腔ケア支援。
略歴
朝日大学歯学部卒。神戸市立医療センター中央市民病院 歯科・口腔外科での研修、臨床基盤の確立。PL病院付属歯科診療所・神戸市健康保険組合診療所での外来診療と副医長としてのチーム運営経験。小林歯科医院に参画後、副院長を経て2009年に先代を継承し院長就任。一般歯科から歯周病・義歯・インプラント・口腔外科、有病者・障がい者・訪問まで幅広く診療し、地域医療に継続的に取り組んでいます。
所属学会・スタディグループ
日本臨床歯周病学会/アメリカ歯周病学会(AAP)/日本障害者歯科学会/日本口腔感染症学会・JSCO(ジアズステディークラブ大阪)/O.J(Osseointegration Study Club of Japan)/K-PROJECT
社会活動・専門貢献
加古川歯科保健センター:障がい者歯科診療担当として隔週で出務・東日本大震災・能登半島地震などで災害医療ボランティアとして口腔ケア支援。災害時の口腔ケア啓発講演を継続。

患者様へのメッセージ

お一人おひとりが納得して選べるよう、検査結果と各治療の利点・注意点を丁寧に説明し、生活背景に合わせた無理のない計画をご提案します。予防から専門治療、訪問での口腔ケアまで切れ目なく支援し、長く安心して任せていただける「地域のかかりつけ歯科」として寄り添い続けます。